こんにちは。化工見習いです!
今回は、化学工学技士(基礎)2024年度の解答・解説となります!
少しでも参考になれば嬉しいです!
最後に振り返りをしてますので、ご覧くださいm(__)m
2024年-A-解答
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ここから振り返りを行っていきます。
A1.選択○×問題
(1)密閉容器内で、気相と液相が気液平衡状態(単成分系)であるとき、気相圧力は飽和蒸気圧を示します。これは液体の体積がどれくらいであろうが変わりません。
(2)実在気体と理想気体で異なる点は「分子自身の体積の有無」またそれによる「分子間力を考慮しているか」です。例えばファンデルワールス式を参考にしてみると、分子自身の体積\(\ b=0\)とするだけで、一気に理想気体の状態方程式に近づくことが分かります。

また、この発想から\(\ V-nb≒V\)と近似できるようにすれば理想気体に近づくと言い換えられるので、\(\ V>>nb\)とするような操作を考えればいいです。分子自身の体積を除く気体体積\(\ V\)を大きくする操作は一般に、温度を高くしたり、圧力を低くすることです。したがって、(2)の答えは✕です。
(3)問題文の後半部分が成立するのは、「理想溶液」の場合のみです。またこれが理想溶液の定義になります。実在気体の場合は補正係数である活量係数\(\ \gamma\)が必要です。
(4)内部エネルギー変化は定数cを用いて\(\ dU=cRdT\)と表すことができます。「等温可逆圧縮」では、「等温」つまり\(\ dT=dU=0\)になりますので、答えは✕です。
(5)Henryの法則は\(\ P_i=HC_i\)で、希薄溶液において、気体の液体に対する溶解度は、気体の「分圧」に比例する法則です。
(6)理想気体では、\(\ PV_i=n_iRT=nx_iRT\)が全成分について成立します。これを変形すると
\(\displaystyle \frac{V_i}{x_i}=\frac{nRT}{P}=A\)と定数Aになり、各成分について同じ定数Aを取ります。
A2.次元
両辺の次元は一致する性質を利用して解く問題です。
前提として、それぞれの定数や物理量がどんな単位を持つのか、理解していなければなりません。
(f), (g) 式(6)の変換後の形から、\(\ {\beta}\)と\(\ {\epsilon}\)を軸に変形すればいいことが分かります。(3), (4), (5)式から、\(\ {\beta}\)と\(\ {\epsilon}\)=の形に変形すればいいということです。
A3.反応工学
あまり反応工学っぽくはないです。
(e) (3)式の両辺の対数をとれば、Bが切片、Eが傾きに相当することが分かります。
A4.熱力学
熱力学第一法則\(\ Q={\Delta}U+W\)に関する典型的な問題です。
それぞれの定義や、定圧定容過程の性質をよく理解しておけば解ける問題だと思います。
A5.伝熱工学
(c) (1)式をよく見て、何が変数で(積分対象で)何が定数かを見極める必要があります。
(d) これは、\(\displaystyle I=\frac{V}{R}\)と同じ考え方になります。分母が表すのは、「伝熱抵抗」です。
(e)伝熱抵抗だけに着目し、まず与えられた条件式から、何が支配的(影響が大きい)か求めます。
すると、\(\displaystyle \frac{1}{h_HA_H}\)と\(\displaystyle \frac{1}{h_f{\eta}_fA_f}\)の2項について考えればいいことが分かります。
次に、フィンを付けているので、\(\ A_h\)<<\(\ {\eta}A_f\)より、\(\displaystyle \frac{1}{A_H}>>\frac{1}{{\eta}_fA_f}\)となります。
ここで重要なのは、「どちらかの項のみ極端に抵抗が大きいと、そちらが律速段階になる」ということです。
熱伝達係数\(\ h\)を除いた状況では、\(\displaystyle \frac{1}{A_H}>>\frac{1}{{\eta}_fA_f}\)より、流体H側の方が律速段階になることが分かります。
一般的に\(\displaystyle\frac{1}{h_L}\)<<\(\displaystyle \frac{1}{h_G}\)なので
\(\ h_H\)に\(\ h_L\)を
\(\ h_f\)に\(\ h_G\)を当てると、2項のバランスが良く、全体の伝熱抵抗が低く保てるというわけです。
問題を解くうえで👆のような順番で考えましたが、そもそもの考えは逆です。
液体と気体などの、熱伝達係数に大きく差がある2相の伝熱を行おうとすると、フィン無しでは伝熱抵抗は
\(\displaystyle \frac{1}{h_LA}\)+\(\displaystyle \frac{1}{h_GA}\)
となります。しかし、これでは\(\displaystyle\frac{1}{h_L}\)<<\(\displaystyle \frac{1}{h_G}\)であるため、気相側(熱伝達係数が小さい方)の抵抗がどうしても大きくなってしまい、気相側律速になるので、非常に伝熱効率が悪いわけです。
これを解決する発想として、気相側の伝熱面積を大きくすればいい➡フィンを付けよう
という流れなのです。こちらの方がスッと理解できると思います。分かりずらい方は、数値を適当に決めて代入して比較してみると直感的に分かりやすくなると思います。
この考えは二重境膜説でも解説しているのでぜひご覧ください👇

A6.乾燥
(f) 乾燥速度を含水率によって場合分けして解く必要があります。また、グラフより\(\ r=kw\),\(\ k=1\)ですが、単位には注意しておきましょう。どこかで10^3や10^(-3)などのずれが生じる可能性があります。
A7.反応工学
(a)総括転化率の定義は、「原料供給に対して、最終的にどれだけ転化したか」ですので、単通転化率は関係ありません。物質Aの入り口と出口だけ見ればokです。
(e)リサイクル回りも含めて収支を取れば、単通転化率についての立式が可能です。
入り口流量+リサイクル流量×(1-XA)=リサイクル流量+分離された流量
A8.粉体工学
(b)Stokes域では、\(\ F=3{\pi}{\mu}vd_p\)が成り立ちます。導出は以下の記事でも行っていますし、他のAllen域なども紹介していますのでぜひご覧ください。
(f)この積分ができない場合は、まず大学数学の微分積分の基礎を勉強するといいです。化学工学では大学基礎レベルの微分積分を利用するため、必須の分野となります。

感想
今回も最後まで見ていただきありがとうございました!
こちらは去年僕が受験した化学工学技士(基礎)の結果です👇気になる方は見ていってください!

2023年度-A問題の解答・解説はこちら👇

2022年度-A問題の解答・解説はこちら👇

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